助動詞の難しさ(後編)

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英語の助動詞について③

 

助動詞+完了形」の話の最終回です。
前回までの話では、この表現は仮定法のこともあるし過去の出来事の推量のこともあるとまでまとめさせてもらいました。具体例で話していきます。

 

 “She can’t have forgotten Ken.”
「彼女はケンを忘れたはずがない。」に対して

 

“She couldn’t have forgotten Ken.”
「彼女はケンを忘れたはずがないと思われる。」となり、

 

その違いはcan’tの「可能性はない」に対してcouldn’tは「可能性はないと思われる」と、トーンが少しダウン(「可能性のなさ」が弱まっている)していることです。
(“can’t have forgotten”の忘れた可能性を仮に0.5%とすれば“couldn’t have forgotten”では3%という感じです)

 

“I can help you.” ならば
「私が助けられるよ。」と助けられるモード全開なのに対して、

“I could help you.” は
「(条件が合えば)助けられるよ。(場合によっては助けられないかもしれないけど)」と、

 

助けるモードがトーンダウン(=調子・勢いが落ちる)しており、

“Meg may be a teacher.” が
「メグは先生かもしれない。」に対して“might”になれば「ひょっとして先生かもしれない」とトーンダウンするのです。

 

 

助動詞の過去形が現在の意味で使われるときは前編では「丁寧さ」を表すケースを書きましたが、今回は可能性やら条件が付いたりして「トーンダウンする」という表現でまとめたいと思います(このトーンダウンという概念は「丁寧さ」をも含有すると考えています)。

 

結局のところ助動詞が過去形であろうがなかろうが、仮定法のこともあり過去への推量のこともあるということであり、文脈によって決まるということになります。