英検受験で注意したいこと

英検(実用英語技能検定)は、小学生に英語の評価を取り入れた2020年4月前後からシステムを多少変えてきました。

しかし、3級以上からのライティングや、4・5級のスピーキングなどの細かな追加がされたことを除けば試験内容自体はそう変わってはいません。

 

 英検自体は英語の4技能である「文字からの理解」「音声からのリスニング」「書き」「スピーキング」を向上あるいは確認するために優れたシステムですし、年々私立高校における英検の重要度も増してきている傾向にあります。

ただし入試問題(読解・英作や文法問題)に対応する視点からは注意する点もあります。

それは英検のほとんどの問題が4者択一で構成されていて、場合によっては6割超で合格するために起こる弊害です。知識・運用面が曖昧であっても4者択一のため合格してしまうことが事実あるのです。

本当の学力を付けるために

 

一方、高校受験(東京都の共通問題レベル以上を想定)あるいは大学受験(日東駒専レベル以上を想定)の英文を正しく読むためには「曖昧な知識」では絶対に対応できません。

英語は日本語より論理的な構造になっているため、時に分解してその文構造を噛み砕きながら読めるように訓練していく必要があるのです。

 

意味の取りづらい文は、構文(英文の5文型や、仮主語・目的語あるいは無生物主語など)や文法知識をもとに分解しながら意味をとっていく読み方が必須です。文法知識を使って分析することによってその文の意味が初めてしっかりと理解できることが多々あるわけです(特に上位校の私立高校や中堅の大学以上の英文読解では、そのような分解しないと意味の取りづらい箇所が設問になり問われるものです)

 

かつてエマールの個別教室にこういう生徒がいました。
中学1~2年生の時に英検準2級(英語検定協会ではレベルは高校中程度とされています)を3回受験し不合格になり、4回目でようやく「合格」したのです。

確かに中2で準2級に合格するのは凄いことではあるのですが、1つには3回も不合格になるような状況で受験をすること自体に疑問が残ります(曖昧な学力でも合格が取れてしまうように英語検定協会が合格ラインを下げているのではと疑ってしまいたくなります)

 

おそらく言い方は悪いですが「まぐれ」のような合格がありえてしまう状況になっているのは事実と思われ、前述した中2は準2級に合格した時点では都立の英語入試問題では60点取れなかった可能性が高いです。

 

一番の問題はより深刻になりえるもので、このような受験方法で「合格」してきてしまったことにより(英語に限らず)事柄に対する思考自体が浅く感覚的なものになってしまう傾向があることです。

言い換えれば、「しっかり考えてメッセージを掴みながら読み取る読み方をしなくなる癖」を作ってしまいえるのです(もちろん全員がそうなるわけではなく、パターンプラクティスに偏った勉強方法を取る生徒に多いでしょう)

 

つまり人にもよりますが、英検勉強における穴ともなりうるこの点を意識せずにその勉強法にハマってしまうと、「浅く感覚的な思考法」に偏っていってしまう危険性があるということを注意すべきなのです。当然ながらそこから脱却しないと間違いなく本当の学力は身に付かないわけですから。